汗の成分は一体なに?いい汗と悪い汗の違いなど分析!
夏場や運動をした後、緊張した時など、汗をかく場面は多いですよね。汗をかくとベタベタしたり、ニオイを放ったりして不快な気持ちになります。ところで汗の成分は一体何でできているのでしょうか。いい汗と悪い汗というものが存在することを知っていますか?その違いは何なのか分析していきます。
2018年11月02日更新
記事の目次
[1]汗の成分や種類
汗はどのような成分からできているのでしょうか。汗腺の種類の違いについてもみていきましょう。
成分
汗の成分は99%が水分でできています。それ以外のほとんどは塩分のため、汗をかいた後に洋服が白くなるのはそのせいです。他にはマグネシウム、亜鉛、カリウム、重炭酸イオン、鉄などのミネラルや電解水、乳酸、尿素などもわずかに含まれています。
もともと汗は血液からできています。血液から赤血球を取り除いた血漿というものがろ過され、99%水分となって体の外へ出てきます。
汗腺は2種類
汗腺には2種類あり、汗の性質や仕組みが異なります。
エクリン腺
エクリン腺は全身に存在しており、体温調節のために汗を出す汗腺でニオイは無臭です。
アポクリン腺
アポクリン腺は限られた場所にしか存在せず、特に脇の下に多く存在します。毛根に開口部があり、脂質やたんぱく質などニオイの元となる成分を含んでおり、白く濁った色をしています。フェロモンの役割を果たしていたといわれています。
[2]汗をかく原因
汗をかく原因としては体温調節、緊張した時、辛い物を食べた時の3つに分類できます。それぞれどのような特徴があるのでしょうか?
温熱性発汗
暑い時や運動した後に体温を下げるために出る汗です。暑い時に運動をすると1時間で2リットルの汗をかくといわれています。手のひらや足の裏以外の全身から持続的に出る汗です。汗腺の種類はエクリン腺です。
精神性発汗
人前での緊張や不安、怒り、痛み、驚きなど精神的な刺激によって出る汗です。手のひらや足の裏、脇などに短時間に発汗するのが特徴です。汗腺の種類はエクリン腺とアポクリン腺です。
味覚性発汗
香辛料のきいた辛い物などの刺激物を食べた時に出る汗です。頭や額、鼻を中心に吹き出します。辛い成分のカプサイシンが口腔内にある温度センサーを刺激して熱覚と痛覚が生じ、発汗神経を刺激するためといわれています。汗腺の種類はエクリン腺です。
[3]汗は毒素?いい汗と悪い汗の違い
汗に良いも悪いがあるのでしょうか?その違いを分析します。
いい汗
「いい汗」の成分は99%水分でできています。さらさらとしていてニオイもありません。いい汗をかいた後は肌が弱酸性になっているため、常在菌の繁殖を抑える働きをしてくれます。また、いい汗をかくと体に必要なミネラルが血液へと再吸収されるため、栄養分が失われません。いい汗は蒸発しやすく体温調節をスムーズにおこなってくれるのが特徴です。
悪い汗
一方で「悪い汗」とは塩分などのミネラル分を多く含む汗のことです。粘度が高く、大粒の汗として流れ出てくるため蒸発しにくく、体温調節もしにくくなります。悪い汗をかく原因は生活習慣です。運動不足や普段から涼しい室内で過ごしていて汗をかかない生活をしているとエクリン腺の働きが弱くなり、ミネラルの吸収機能が衰え、ねばねばとした汗になってしまいます。
[4]汗のニオイ対策や予防法
さまざまな原因で発生する汗はどのように対処したら良いのでしょうか。そもそも汗をかいた直後はニオイはほとんどしません。汗をかいた体に菌が繁殖するとニオイを放つので菌が繁殖する前にすばやく対処することが望ましいです。
対策
まずはニオイ対策をご紹介します。
濡らしたタオルで拭く
汗の成分を分解して菌がニオイを放つのは1時間かかるといわれています。ニオイを放つ前にこまめにタオルで汗を拭きとることが大切です。
制汗剤を使う
制汗剤には汗を抑えるものや菌の繁殖を抑えるものなどさまざまな種類があります。汗の量が少なく、ニオイも気にならない程度ならデオドラントシート、ややニオイが気になるなら制汗スプレー、汗の量が多く、強い臭いならスティックタイプの殺菌効果のあるものをおすすめします。
吸収性の良い下着を付ける
最近では吸収性の良いインナーが多く販売されています。服の下に1枚着ているだけで汗をかいてもインナーが汗を吸収してくれるため、雑菌が繁殖する心配がありません。
汗をかいたあとは乾燥に注意
汗をかいた後は水分量が多いと思いがちですが、逆に肌は乾燥しやすくなります。そのため、しっかりとボディローションなどで保湿をして水分の蒸発を防ぐことが大切です。
予防法
汗のニオイを軽減させるためにも普段の生活を見直しましょう。
食べ物
食物繊維を多く含む野菜や海藻類、きのこ類、腸内環境を整える乳酸菌やオリゴ糖は体臭を抑えるのに効果的だといわれています。ただ単にその食材を食べるのではなく、わかめときのこの味噌汁やヨーグルトにオリゴ糖をかけたりなど複数組み合わせることでより効果が高まります。
お風呂
汗が気になるとお風呂でごしごしと念入りに洗いがちですが、肌には雑菌だけでなく肌を守る良い菌がいるため、洗いすぎは厳禁です。また、殺菌効果の高い薬用せっけんや洗浄力の強い洗浄剤を使用すると皮脂腺が活発化して皮脂分泌量が増え、雑菌が増える環境を作ってしまうため注意が必要です。体を洗う時は優しく洗うように心がけましょう。
水分補給
臭くない汗をかくには水分補給が大切です。1日に必要な水分量は1.5~2リットルといわれています。普段からこまめに水分補給することを習慣づけましょう。
体を冷やさない
冷房にあたりすぎたり、普段から涼しい所で生活していると汗腺機能が止まり、汗をかかない体質になってしまうため体に悪影響です。冷房の温度を適正温度にして体を冷やしすぎないようにしましょう。
生活習慣
暴飲暴食や喫煙はニオイの原因となります。また、睡眠不足やストレスによって自律神経が乱れると乳酸やアンモニアなどのニオイの元が増えてしまいます。規則正しい生活を心掛けてストレスをためないようにしましょう。
普段から汗をかく
汗をかかない生活をしていると汗腺機能が低下し、臭い汗がでやすくなります。軽い有酸素運動やお風呂に浸かるなどして汗腺機能を鍛えてあげることが大切です。
汗腺トレーニング
汗腺の機能を高めるために汗腺トレーニングをすることも1つの対策といえます。汗腺トレーニングとは、42~43度の熱めのお湯を少なめにはって、ひじより下を15分温めます。そうすると5分ほどでじんわりと汗が出てきます。出てきた汗はうちわなどで蒸発させて自然に体温を下げます。これを日々繰り返すことでいい汗をかくことができます。
[5]いい汗をかいて気持ち良く過ごしましょう
汗をかくことは悪いことではなく、むしろ体に良いことだということが分かります。ニオイのしない「いい汗」をかくように日頃の生活を見直したり、汗の対処をすばやく行うことで汗のニオイを気にせずに過ごすことができます。
汗はただ臭いだけでなく健康状態を表すバロメーターともいえます。ニオイが強くなったと感じた場合は病気が隠れている可能性もあるため、注意してください。
汗は嫌なものだと考えずに誰でもかくもの、なるべくいい汗をかけるようにと気持ちをプラスにして日々の生活を気持ちよく過ごしましょう。